脳の神経細胞へのダメージにより、もの忘れをはじめとする症状が現れる認知症は、早期発見・早期治療が非常に重要です。認知症の始まり・兆候とされる初期症状を早期に発見し、病院での治療を受けることにより、症状の悪化を遅らせることができるからです。
認知症の始まり・兆候とみなされる認知症の初期症状には、主に以下の4つが挙げられます。

もの忘れ
認知症の特徴的な症状として、「もの忘れ」が挙げられます。認知症によるもの忘れは、加齢によるもの忘れとは異なり、忘れていること自体が思い出せなくなることが特徴です。
たとえば、高齢の方の中には昨日の夕食のメニューを聞かれても、すぐに思い出せないケースは少なくありません。しかし時間をかければ思い出せる方や、ヒントを出すことで思い出せる方がほとんどです。
一方の認知症によるもの忘れは、夕食を食べたこと自体を忘れてしまう状態です。夕食を忘れていることを自覚することが難しく、日を追うごとにもの忘れの症状も悪化していく傾向にあります。
理解力・判断力の低下
周囲の家族との会話についていけなくなったり、買い物の時の金額計算が困難になったりと、外からの情報を素早く理解・判断する力が低下してしまうのが特徴です。
その場に応じた臨機応変な対応が難しくなり、信号が赤なのに渡ろうとしてしまったり、青に切り替わっても渡るタイミングがわからなくなったりすることもあります。
集中力・注意力の低下
これまで集中して読んでいた新聞や本を読まなくなったり、テレビ番組の話に追えなくなりテレビを見る習慣がなくなったりすることもあります。周りの出来事に関心がなくなり、お金の管理ができなくなるほか、以前はできていた家事・買い物に手間取るようになるなどの変化もみられます。
趣味嗜好・性格の変化
これまで温厚だった方が急に怒りっぽい性格になるなど、趣味嗜好・性格の変化が起こることも多いです。
以前と比べて意欲が低下し、趣味だった活動を急に辞めてしまう方や、身だしなみに無頓着になる方、片付けが出来なくなる方もいらっしゃいます。
怒りっぽく暴力的な性格に変化するケースのほか、やる気が低下して落ち込むことが増え、うつ病のような症状になるケースもあります。
高齢の家族と定期的に会話する

認知症の兆候である「もの忘れ」などの初期症状は、本人の方との会話で気づくケースが多いです。
何度も同じことを尋ねるようになったり、「今日は何月何日だっけ?」と、自分が置かれた状況がうまく認識できない様子から、認知症の疑いを持つ方もいらっしゃいます。このような認知症の始まりにいち早く気づくため、高齢の家族と定期的に会話することを心掛けると良いでしょう。
